親戚の家から離脱、終わりへの始まり

新しい生活の始まり、生じる亀裂

母を失い、妹と2人で生きていかなくてはならなくなった清田だったが、それでも彼の眼差しは暗くなることはなかった。自宅が焼け焦げて残された瓦礫の山から掘り出して地面に埋めた食料を取り出す。それを西宮の親戚へと届けると叔母は入手困難な品ばかりを見て大いに喜ぶ。その時不意に尋ねられた母の状態について清田はようやく打ち明ける。母がすでに死んでいることを聞かされて叔母は驚きを隠せないものの、それでも節子には切り出せずにいた。

親戚の叔母元でしばらく暮らすことになった清田と節子だったが、この時ほど2人は世間と比べて浮世離れしていたと言わざるをえない状態にあること、それに気づかなかった。清田にしても年齢的に14歳であり、軍国主義だった当時の日本としては貴重な資源として骨身を削って働かなくてはならなかった。しかし彼は学校が無くなってしまったことで自分が何をするべきか分からず、また妹を一人残していくわけにはいかなかったという責任感から何をするわけでもなく日々を自堕落に過ごしていく。清田の放蕩した様子、節子の年齢特有の我儘を見て聞いて行くうちに最初こそ一緒に切り抜けていこうと意思を見せていた叔母の態度が変化していった。それは目に見えて現れることとなる。

戦争状況が長期化して日本が不利になっていくにつれて、当時の人々は食糧難に陥っていた。それは清田たちが居候している叔母の家も例外ではない、毎日数少ない食料でやり繰りして何とか雑炊を食べて日々を乗り越えていたが、叔母はこの頃から清田と節子の食事と自分たち家族が食べる食事とに差をつけていた。自分たちが食べる食料には十分な量を、清田と節子には白湯とわずかなおかずだけという、腹の足しにもならないもので空腹に耐えなくてはならない日々となっていく。

その後反対する節子を押し切って母の着物を担保にして米を入手して僅かな幸せを手に入れるも、それも長続きはしかなかった。不満を露わにする清田と節子に堪忍袋の尾が切れた叔母は今後の食事は別々に取ろうと言い切る。まともな関係ではいられなくなり、一緒に生活していくこともできなくなっていた2人はある決断をする。

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叔母の家からの脱出、2人だけの生活

どんなに日々が過ぎても清田が何かするわけでもなく、妹の面倒をすることに専念する姿に叔母の怒りは限界にまで達していた。それを直に感じていた清田と節子は、隠れ家として街から少し離れた横穴へと避難していた。そこで清田はここで一緒に生活しようと節子に提案する。これまでの窮屈な時間から離れて2人だけで新しく始めること、それに希望を馳せていた。もう誰に何を言われることもなく自由に暮らしていける、そう信じて疑っていなかった。

横穴で暮らすために必要な道具を取り揃えると、叔母に挨拶をして2人は新しく自分たちの住まいとなる横穴へと出て行く。去り際、何か思うところのある姿をする叔母が遠くから響く節子の笑い声に対して、どことなく一抹の不安が感じる姿が印象的に描かれている。全ての荷物を横穴に置いてその日からの生活を楽しくする清田と節子、初日の食事を大いに楽しげに平らげた後、これから暮らしていくこととなる横穴で初めての夜を迎えるのだった。

その時寝付けない2人は横穴周辺に飛んでいる蛍を大量に捕まえて、横穴で蛍の仄かな光を寝静まるまで眺める。翌朝清田が起きると横で寝ていたはずの節子がいない事に気づいて外に出ると、そこで初めて彼女が母がすでに死んでいる事実を知っていることに驚愕した。話したのは叔母、自分なりに受け入れながら蛍の墓を作っていた節子は暗い表情のまま母の死を知っていた事実を述べる姿に、これまで溜め込んでいた悲しみを清田は吐き出す。遺骨が収められているお墓へいつかお参りに行こうと述べる清田だが、母の遺骨が常にそばにあることだけは知らせられずにいた。

これからは2人だけで生きていかなくてはならない、清田はより一層の決意をひめるが彼らの本当の意味で辛い時間が待ち受けている。

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世間知らずのお坊ちゃまとお嬢様

中盤の内容について簡単に述べたが、ここで浮き彫りになっているのは清田と節子が当時の風潮ではありえないような行動を幾つもしている。散歩がてらに訪れた日常、それをいつもどおりに過ごす姿が見るも滑稽な姿だと感じた人も少なくないはず。中でも海を訪れて遊ぶ姿、周囲では懸命に塩などの食料集めに専念している横で2人は無邪気に遊びまわっていた。それは2人にとって当たり前でしたが、逆に戦時下という状況で遊べる姿など見ていて不愉快に思う人も少なくはありません。こうしたところも2人が軍人の家に生まれて、人よりも裕福な生活をしていたがための背景があったからなのかもしれません。

食事を満足に食べさせてくれない叔母に対して憤りを感じる姿も、子供だからといって何でも許される時代ではありませんでした。まして清田と同年代の少年少女達が懸命に学校へ通って国のため渡渉て活動しているのに、清田はなにもしないで節子と一緒に遊んでいるだけ。そんな姿に叔母が怒りを覚えるのは当然だったといえる。劇中の中盤では特に叔母が悪役のように表現されているものの、見方によっては叔母の行動は当時の世情を鑑みれば正しいものだったのかもしれない。

それでも清田と節子は自分たちの生き方を変えることはしなかった、その行動が横穴での暮らしへと繋がっていく。食料にしても母親が残してくれた当時のお金で7,000円という貯金があったことも関係しているだろう。ただそれも兄妹2人が生きるための値段としては足りなく、稼ぐ手段もない子供がどのように使っても後に残る金額はたかが知れていた。

はっきりと言ってしまうが、当時の状況で大人の手を借りずに何も知らない世間知らずな子供が起こした無知故の蛮行だったと言っても良いだろう。中盤を越えて物語は佳境へと向かうが、待ち構えている結末は誰も見たくはないものだった。

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